リハビリテーション科での摂食嚥下障害のリハビリ

リハビリテーション科

REHABILITATION

当院のリハビリテーションの特徴

FEATURES OF

当院では、10名以上のリハビリテーション専門職(理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST))を配置し、急性期病院での治療を終えた後の在宅復帰に向けた回復期から長期療養が必要な慢性期、また外来や介護保険を用いてのリハビリテーション(通所リハ、訪問リハ)まで幅広いステージのリハビリテーションニーズに対応しております。
脳血管疾患(脳卒中や脳梗塞など)については、脳神経外科の専門医がおり嚥下障害の評価や治療も含めてきめ細かく対応しています。

理学療法部門
01

理学療法部門

PHYSICAL THERAPY

理学療法(PT(Physical Therapy))では、運動療法・物理療法を中心に、寝返りや起き上がり、座位保持などの基本動作や、歩行・移動動作(車椅子などの歩行器具を用いたものも含みます)の獲得を目指します。
また、自宅退院へあたっての家屋評価や、義肢・装具の検討も行います。

  • PHYSICAL THERAPY 01

    在宅復帰に向けた
    取り組み

    在宅復帰を目指し、起き上がり、立ち上がり、歩く練習など日常生活の基本となる動作の練習を通し、運動能力の向上を図ります。
    説明と同意を得て、個別の練習メニューを提供し、家族に対する介助指導などのサポートも行います。

  • PHYSICAL THERAPY 02

    個人に最適な装具
    作成

    身体機能や退院後の生活スタイルに合った装具作製に向け、医師との話し合いのもと、装具を製作しています。

  • PHYSICAL THERAPY 03

    部署内のスタッフで意見を交わし
    効果的な理学療法を提供

    理学療法介入中に担当および在宅部門の理学療法士を交えた複数名で練習内容を検討しています。
    また患者さんの理学療法場面を撮影やカンファレンスを通じて部署内で練習内容の検討を行っています。

02

作業療法部門

OCCUPATIONAL THERAPY

作業療法OT(Occupational Therapy)では、おもに高次脳機能障害に対しての評価・治療、運動療法、作業活動(手工芸等)を利用しながら、日常生活の動作(食事や排泄、更衣や入浴等)の獲得を目指します。
また、家事動作練習や職業前訓練、自助具・福祉用具の検討、理学療法部門とともに家屋評価も行います。

作業療法部門

退院後の生活を
見据えたチームアプローチ

TEAM APPROACH

患者さんが身の回りの生活動作を自分で行えるようになるため、当院ではあらゆる生活動作についてセラピストが他職種とともに評価を実施し、環境や介助方法などを統一します。

入院生活自体がリハビリと捉え、それをチームで支えています。
入浴介助を行う際に、適切な福祉用具を使用することで介助量の軽減を図る事が可能であり、さまざまな入浴関連の福祉用具を揃えることで自立支援を促します。

言語聴覚部門
03

言語聴覚部門

SPEECH AND HEARING

言語聴覚療法ST(Speech Therapy)では、おもに言葉のリハビリを行います。失語症や構音障害などコミニュケーションが円滑に行えるようサポートします。
次に飲み込みが困難になった方が上手に食事ができるように練習します。

  • SPEECH AND HEARING 01

    食べるためのアプローチ

    食べるためには、口腔ケアで口腔内環境を整えること、口腔機能の向上が必要不可欠です。
    誤嚥のリスクに配慮しながら"食べられる口作り"に向けて、口腔ケア・口腔リハビリを行っています。

    安全な経口摂取に向けて、摂食・嚥下障害リハビリテーションの専門医により、必要に応じて嚥下造影検査(VF)も実施します。

  • SPEECH AND HEARING 02

    話す・聞く・考える
    コミュニケーションへのアプローチ

    患者様の症状にあわせ、退院後の生活に繋がるリハビリを提案します。
    金銭計算をしたり、携帯端末等を用いることもあります。時にはゲーム等も取り入れて頭の体操をしたり、楽しくコミュニケーションが図れるよう工夫をしています。

    はっきりと聞き取りやすい発話をするためには、意識的に口腔器官を動かすことが必要です。発話症状にあわせた構音訓練や口の体操を行います。
    また、居室やご自宅でできる自主訓練も提案します。

  • SPEECH AND HEARING 03

    舌圧計の活用

    舌圧とは舌が口蓋を押し付ける力のことをいいます。舌圧は摂食や嚥下運動に関わることから注目されています。
    舌圧は脳血管障害や廃用による筋力低下等により低下します。

    それに伴い食物を咀嚼し飲み込む力にも障害をきたします。
    この舌圧を測定する"舌圧計"を訓練や評価に用いて、舌機能評価の指標としています。

脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞等)の
リハビリテーションの流れ

REHABILITATION FLOW

  • 脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞等)のリハビリテーションの流れ01

    急性期(発症直後から数週間くらい)他の急性期病院等での取り組み

    発症直後の治療と並行して、体の機能低下を最小限に抑えるリハビリが行われた結果、上半身を起こして座っていられる程度に回復するまでの期間を急性期といいます。
    この期間の日数は症状の重さによって個人差があり、ごく軽度では数日程度のこともありますが、1~2週間から数週間程度のこともあり得ます。

    脳血管障害が重症の場合、発症直後に起きた意識障害が数時間~数日間続くことがあります。
    近年では発症直後に医療機関を受診したときから、治療とともにリハビリが始まるという考え方が主流であり、リハビリ開始が早ければ早いほど回復状況が良いことが知られています。

    容態が安定していれば最も早い場合で発症当日から開始され、意識がほとんどなく自分から動けない場合でも、筋肉や関節の機能低下を防ぐため、ベッド上で関節を動かす運動など、リハビリの第一歩が始まります。

  • 脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞等)のリハビリテーションの流れ02

    回復期(数週間から数ヶ月くらい)

    当院では、①の急性期発症からのリハビリテーションがメインになります。
    当院のような入院中の医療施設または専門のリハビリ施設などで本格的集中的なリハビリが行われた結果、日常生活に必要な動作や機能が回復するまでの期間を回復期といいます。

    日数は症状の重さによって異なりますが、数週間の人もいれば数ヶ月以上かかる人もいます。

  • 脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞等)のリハビリテーションの流れ03

    維持期(数ヶ月から6ヶ月目以降)

    自宅などに戻って、回復期に取り戻した機能の維持を図り、日常生活の自立と社会復帰を目指す時期を維持期といいます。
    通常は外来通院でのリハビリテーションや介護保険を使用したリハビリテーション(通所、訪問)が該当します。

    退院後も日常生活動作やそれを応用した動作などの訓練を自然に取り入れることが機能の維持ひいては住み慣れた地域での生活の継続につながります。

リハビリテーションの目標と内容

GOALS & CONTENTS

何を目標にどんなリハビリテーションを行うかは、患者さんの置かれた状況や状態ごとに異なります。そこで医師らは、リハビリの専門職(理学療法士、作業療法士等)や多職種と連携しながら急性期から身体障害の回復具合や日常生活動作の様子をチェックして個々の患者さんの症状に合わせたリハビリメニューを処方していきます。
例えば、脳卒中の急性期・回復期・維持期を通じて掲げられるリハビリテーションの目的は次の3点を柱とします。

  • 1)脳の機能を回復する
  • 2)残された機能を維持・強化する
  • 3)環境を整える

たとえば、脳卒中で左手が麻痺した場合、まずは1)のように最大限の機能回復をめざします。
そしてたとえ発症前と同じ状態に戻らなかった場合でも2)のように右手などの使える機能を強化して、患者さんの生活の質の向上を図ります。
また左手に力が入らなくても使える品物をそろえたり、にぎりやすい蛇口やドアノブに替えたりします。
これが3)の環境を整える、にあたります。

症状が重く、車椅子が必要になった場合には住宅改修なども考慮されます。つまり、リハビリテーションとは単なる動作練習や筋力トレーニングだけではなく、患者さんの病後のおかれた生活全般をより良いものにすることを目的としています。

回復の見通し

RECOVERY

残念ながら、現在の医療技術では病気の重さによって脳血管障害による機能障害を完全に回復させることは困難ですが、残された機能の強化や環境設定により、多くの患者さんは日常生活が自立して行えるようになり、社会参加を果たすこともあり得ます。

ただし発症初期の日常生活動作(ADL)自立度が低い場合、重度の運動麻痺が後遺症として残っている場合、非常に高齢である場合、重度の半側空間無視(高次脳機能障害のリハビリテーションへ)がある場合、バランス障害が強い場合、併存疾患(脳卒中とともに治療を受けている病気)が多い場合には、身体障害の回復が不良であり家庭への復帰率が低いという研究報告があります。

摂食嚥下障害のリハビリ

DYSPHAGIA

認知症の方などは、食事行動が中断、食べたことを忘れる、食べない等、食べることが徐々に困難になってきます。その場合も言語聴覚士を中心に理学療法士・作業療法士が評価を行い、患者さまひとりひとりに見合ったリハビリを行っていきます。

具体的には言語聴覚士のリハビリの場合、食べるために必要な筋力(舌・口唇・頬等)の強化、誤嚥してしまった時に食物を吐き出す訓練等を行います。
その他に、口の中の環境を整え、本来持っている口の動きの維持、向上を図るケアや調理方法の工夫、理学療法士による摂食時の姿勢、作業療法士による自助具、食器の選択など、それぞれの専門が協力しながら患者様により安全に楽しく・おいしく食事ができるように指導します。
PT・OT・ST協同で「飲み込む力」をつけて行きます。

摂食嚥下障害のリハビリ

こんな症状がある方は
当院の受診がおすすめです

  • むせる
  • よだれがでる
  • 時々、熱がでる
  • 食事に時間がかかる
  • 食欲がない
  • 食べこぼす
  • 食事中に咳、痰がでる
  • 飲み込みにくい
  • やせてきた
  • のどがゴロゴロなる
  • 誤嚥性肺炎をくりかえす

鈴江病院の
リハビリテーションの特徴

  • 01

    理学療法士9名・作業療法士5名・言語聴覚士3名、計17名のスタッフが集中的リハビリに対応致します。
    回復期に該当しないリハビリにも対応致します。

  • 02

    高齢等のため治療・リハビリに長い時間がかかる患者さまにも対応致します。

  • 03

    言語聴覚療法の集中的リハビリに対応致します。

  • 04

    摂食嚥下に関するスクリーニングから『日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の認定資格』を持つ脳神経外科医による専門的治療まで対応致します。

  • 05

    病院併設のサ高住通所リハビリでの訓練に対応致します。