入院生活の決まりや持参物、1日の流れなどのお願い・説明事項をPDFにまとめております。
入院生活のご案内当院の病棟
OUR HOSPITAL WARDS
当病院は、病床(42床)がすべて(医療保険の)医療療養病床です。
医療療養病床とは、慢性期の状態にあって、長期に渡り療養を必要とする患者様の為の病床です。急性期での治療後、医師による医学的管理のもとで、日常生活の支援やリハビリなどを継続的に行います。
入院対象となるのは、国が定める医療区分(医療必要度が高い基準)に該当する患者様がおもに入院されている病棟となります。
ただ長期的な療養が必要な場合だけでなく、在宅復帰を希望される方には退院後の生活を見据えた各種支援も行っており、回復期的な役割も担っています。
「回復期リハビリテーション病棟」とは異なり、入院期間の厳格な制限はありませんので、より継続的なリハビリテーションや治療が可能です。
国は、疾患(病気)の重度化の要望や早期の在宅(家庭)復帰を推進する視点から、「リハビリテーション・栄養・口腔ケア」を一体的に取り組むよう政策的に打ち出しております。
当院においても、その政策より以前からいち早くその概念を導入し、「(個別)リハビリテーションの実施」、「栄養管理(低栄養予防)」、「認知症ケア」・「口腔ケア」を治療・ケアの柱と認識し、さまざまな職種で患者様ご家族様に安心して入院生活を送っていただけるよう努めています。
多職種によるケアの提供と
一人ひとりにあったリハビリテーション
MULTIDISCIPLINARY CARE
入院される患者様に最も関わらせていただくのは、看護職員・介護職員です。
当病棟では多職種が連携して患者様の持っている力を最大限に引き出し、支えていく事に努めています。
入院生活では、寝たきりではなく離床をなるべく促すことが、在宅復帰や入院中であっても充実した日々が送れるためには必要な取り組みです。
当院では脳卒中や運動器疾患(骨折など)、慢性疾患等により生じた様々な問題に対し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等のリハビリテーション専門職を常勤ですべて配置しており、その方に合わせたリハビリを個別の計画立案のもと行っています。
また、ポジショニングやシーティングなどその方にあった姿勢の調整を行うことで、安心して暮らせるよう(在宅復帰を見据えた)福祉用具の選定や環境調整も併せて行っています。
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TREATMENT 01
理学療法
理学療法は、基本的な動作能力の回復を目的として身体の痛みやしびれを取り除きながら、基本的動作能力と日常生活活動能力の改善を目指します。
痛みやしびれを緩和し、同時に身体の生理的機能の改善を図るとともに、認知運動療法による脳へのアプローチなどを通じて、脳血管疾患の後遺症の回復に努めます。 -
TREATMENT 02
作業療法
身体に障害を持つ患者様の問題点を把握し、低下した機能を回復させるための筋力強化や関節運動、指の細やかな動きなどを改善する訓練を行います。
具体的には、食事、更衣、身だしなみ、トイレ、入浴等の身辺動作や、掃除、洗濯、調理、交通機関の利用など、実際の生活に必要な行為について患者様にあった適切な方法を訓練・指導します。 -
TREATMENT 03
言語聴覚療法
言語障害や摂食嚥下障害の改善を目指します。
失語症や構音障害などの言語障害を改善する訓練を行います。
飲み込み(摂食・嚥下)障害の改善と、より安全に食事ができるような工夫を、多部門のアプローチにより行っています。
積極的な栄養療法の取り組み
(低栄養の予防、嚥下訓練)
SPEECH AND HEARING
在宅での継続した生活や、入院での安定的な生活には「(最期まで)口から食べられること」が欠かせない要素です。
水分や栄養が十分に摂れていない低栄養の状態では、いくら投薬治療やリハビリテーションを行っても、その効果は限定的であると言われています。
当院では常勤の脳神経外科医師の指導のもと、常勤の言語聴覚士や管理栄養士が中心になって、嚥下(飲み込み)の状態を評価したり、嚥下がスムーズに行えるような各種訓練の実施、個々に合わせた食形態の工夫や栄養補助食品などを充実させ、患者さんの『食べる』をトータル的に支援していきます。
嚥下訓練と口腔ケアの取り組み
SWALLOWING TRAINING AND ORAL CARE
低栄養とも関連しますが、高齢者にとって口腔衛生の低下は例えば誤嚥性肺炎等のさまざまな疾患を引き起こす要因となります。
国の政策でも、医療(医科)と歯科の連携を重視し、病棟に歯科医や歯科衛生士が訪問できるように制度構築がされております。
当院では、提携する歯科の歯科衛生士から指導を受け、経口摂取、肺炎予防を目的とした口腔ケアに取り組んでいます。
当院では、口腔機能の低下(口腔機能低下症)を招かないケアに注力しております。
日本老年歯科学会によると、「口腔機能低下症は、加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって、口腔の機能が複合的に低下している疾患。
放置しておくと咀嚼障害、摂食嚥下障害など口腔の機能障害を引き起こし、また、低栄養やフレイル、サルコペニアを進展させるなど全身の健康を損なう」とされています。
立派な疾患であり、同学会では以下のような概念図で説明しています。
口腔機能低下症の診断には、「口腔機能精密検査」が必要となり、
以下のような評価を行います。
例えば⑤の舌圧は、以下のような専用の機器を用いて評価しています。
舌圧が低くなると、むせや食べこぼしが増え低栄養のリスクが高くなります。
あ り | な し | P | |
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む せ | 15.2±7.2(kPa) (n=28) | 28.8±8.3(kPa) (n=55) | P < 0.001 |
流 涎 | 15.6±7.2(kPa) (n=24) | 22.2±8.6(kPa) (n=59) | P < 0.001 |
食べこぼし | 17.9±8.0(kPa) (n=47) | 23.7±8.5(kPa) (n=36) | P < 0.01 |
低栄養状態のリスク | 17.8±8.5(kPa) (n=32) | 21.9±8.5(kPa) (n=51) | P < 0.05 |
対象:特別養護老人ホームに入居する要介護高齢者83名
低栄養状態のリスク者;血清アルブミン3.5g/dl以下、過去半年間の体重減少率が5%以上
出典:施設入所高齢者にみられる低栄養と舌圧との関係(児玉ほか、老年歯学19,2004)
国は、リハビリテーション・口腔・栄養と3つの柱でケアの質の向上を図るように推進しており、様々な制度誘導をしています。
当院では既にこれらのケアに注力しているところであり、ますます発展させることで患者さんのQOL(生活の質の向上)に努めてまいります。